銀歯とは
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銀歯とは、金・銀・銅・パラジウムなどの金属で構成された合金製の人口歯です。保険診療で虫歯を治療した際に作られる金属製の詰め物・被せ物が銀歯にあたります。銀歯はとても硬くて丈夫なので、強い力がかかる奥歯にも使えますが、金見た目が悪いなどの欠点も多く、白い歯に取り替えたいと希望される方が年々増えています。
20年以上前の銀歯はリスクがあります
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金属アレルギー
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メタルタトゥー
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虫歯の再発
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汚れの付着
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銀歯は古くから使われている人工歯であり、装着から20年以上経過しているという方もいらっしゃることでしょう。人工歯が長持ちすること自体はとても良いことなのですが、金銀歯に関しては長く使い続けていく中でいくつかのリスク・デメリットが生じます。
金属アレルギーのリスク
銀歯には、金属アレルギーのリスクがあります。それは現状、金属アレルギーをお持ちの方だけでなく、使い続けていく中でアレルギー症状に悩まされ始めるというリスクも含まれています。なぜなら、お口の中は歯科用合金にとって非常に過酷な環境ともいえるからです。
唾液や熱刺激で金属イオンが溶け出す
お口の中は、唾液による作用で湿度が100%に保たれています。また、熱い飲み物・食べ物を口にした際には高温に晒されることから、金属イオンが溶け出しやすい環境に置かれているのです。外からの刺激によって溶出した金属イオンが歯茎の血管に入ることでアレルゲンと見なされれば、金属アレルギーを発症します。
メタルタトゥーのリスク
銀歯から溶け出した金属イオンが歯茎に沈着すると、メタルタトゥーと呼ばれる症状を引き起こします。歯茎が黒ずむ現象で、口元の審美性を大きく低下させます。その症状は、銀歯を長く使うほど、強くなっていきます。
虫歯の再発リスク
銀歯は、セラミック歯と比較すると歯質との適合性が低いです。接着剤であるセメントの劣化も進行しやすいため、歯質との間にすき間が生じる傾向にあります。銀歯の装着から20年以上経過している場合は、その傾向が顕著に現れます。
虫歯菌というのは極めて小さな病原体であり、肉眼では確認できないほどわずかなすき間が存在するだけでも、容易に侵入できてしまうため、銀歯を長年使い続けていると、虫歯の再発リスクも極めて高くなっていると言わざるを得ません。
銀歯の劣化による汚れの付着
銀歯は傷がつきやすい素材であり、経年的な劣化も相まって、汚れの付着も促進されていきます。歯茎の周りにプラークや歯石などが堆積すると、歯周病を誘発します。隣接する天然歯の虫歯リスクを上昇させることもあるため要注意です。
銀歯を白い歯にする治療法
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銀歯を白い歯にする治療法は、保険診療と自費診療の2つに大きく分けることができます。
1. 保険の白い歯(歯科用プラスチックのレジン)
保険診療の白い歯は、歯科用プラスチックであるレジンとセラミックを混ぜ合わせた材料が使われます。専門的にはCAD/CAM冠(キャドキャムカン)と呼ばれるもので、コンピューター上で設計をして、専用の機械で人工歯をブロックから削り出します。
見た目は天然歯にある程度近く、金費用も比較的安いのですが、標準的なセラミック歯と比べると審美性・機能性・耐久性に劣ります。あくまでプラスチック材料なので、経年的な劣化も避けられません。
2. 自費の白い歯(歯科用陶材のセラミック)
自費診療の白い歯には、標準的なセラミックが使われます。天然歯の色調や光沢、透明感を忠実に再現できる材料で、失った歯質を補います。保険は適用されないものの、審美性・機能性・耐久性をとことんまで追求できる治療法です。ちなみに当院では、金最短1日で美しいセラミック歯を製作できる「Cerec (セレック)プライムスキャン」を導入
今、銀歯をセラミックの白い歯にする人が増えています
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一昔前までは、丈夫で原材料費も安価な銀歯が重宝されていましたが、セラミック(=歯科用陶材)という優れた材料が開発され、それが普及することによって銀歯からセラミックの白い歯に替える人が増えています。そんなセラミックには、次に挙げるようなメリットがあります。
メリット1見た目が自然で美しい
銀歯は文字通り銀色をしていて、金属色がむき出しの状態です。一方、セラミックは天然のエナメル質の色や質感を再現しやすく、残った歯に自然と調和するほど美しいです。
メリット2虫歯の再発リスクが低い
セラミック治療では特別な接着剤を用いるため、歯質との結合力が高いです。また、残った歯とぴったり合うように作ることができるので、長く使っていても人工歯と歯質との間にすき間が生じることが少なく、虫歯の再発リスクも低くなっています。
メリット3金属アレルギー・メタルタトゥーのリスクがゼロ
セラミックのみを使った治療であれば、金属アレルギーのリスクがゼロとなります。20年、30年と使い続けてもアレルギー症状に悩まされることが一切ないのです。人工歯の成分が溶け出して歯茎に沈着することもありません。セラミックは美しいだけでなく、身体にもやさしい材料なのです。
メリット4汚れや臭いを吸着しにくい
セラミックは表面が滑沢であり、汚れが臭いの物質を吸着しにくい傾向にあります。プラークや歯石の形成も抑えられ、お口の中を清潔に保ちやすいです。また、セラミックは経年的な劣化がほとんど起こらないという点も非常に大きなメリットのひとつといえます。装着から10年経過しても色調や光沢、透明感をそのまま維持できているケースがほとんどです。
銀歯とセラミックに関するQ&A
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銀歯のままでも大丈夫ですか?
問題が起こっていなければ大丈夫です。
銀歯は、直ちに外さなければ害が及ぶようなものではありません。とくに問題が起こっていなければ銀歯のままでも大丈夫です。見た目や金属アレルギーのリスク、虫歯の再発リスクなどが気になった場合は、白い歯への交換を検討されてみても良いかと思います。
虫歯治療で銀歯にされてしまいそうです
ご自身の希望をきちんと伝えることが大切です。
ご自身が銀歯ではなく、白い歯を希望されるのであれば、その意思をきちんと担当の歯科医師に伝えることが大切です。患者様の意思に沿わない治療を強引に行うことは、インフォームドコンセントの考え方に反しています。きちんと話を聞いてくれる歯科医院に改めて相談することもひとつの選択肢です。
銀歯を白くするのに保険治療か自費治療かで迷っています
見た目の美しさや噛みやすさ、寿命の長さを追求するのであれば自費診療がおすすめです。
保険診療でも銀歯を白い歯にすることはできますが、材料は歯科用プラスチックであるレジンです。セラミックもある程度含まれていますが、自費診療のセラミック歯と比較すると、見た目の美しさ、噛みやすさ、寿命の長さに大きな違いが見られます。ですから、安いことを最優先に考えないのであれば、自費治療の方がおすすめです。
安いセラミックと高いセラミックの違いは何ですか?
品質の違いです。
安いセラミックは、プラスチック材料が混ざっているなど、高いセラミックと比べて品質に劣ります。経年的な劣化が大きい点は、安いセラミックの最大のデメリットといえます。
古い銀歯を新しい銀歯にする意味はありますか?
古い銀歯に問題がある場合は新しい銀歯に交換する意味はあります。
古い銀歯が欠けたり、その下で虫歯が再発していたりする場合は、再治療を行ったあと新しい銀歯に交換する意味はあるといえます。ただし、銀歯特有の理由で虫歯の再発や金属アレルギーを発症した場合は、新しい銀歯に替えることはおすすめできません。また、同じようなトラブルを招いてしまうことから、レジンやセラミックといった非金属の材料で人工歯を作ることが望ましいです。
銀歯を白くするか迷っている方へ
銀歯によるデメリットやリスクが気になっていて、白い歯にするか迷っている方は、お気軽に当院までご相談ください。当院では、金銀歯とセラミック歯の両方に対応しており、患者様に最善といえる治療法をご提案することができます。
セラミック歯がすべてにおいて銀歯に勝っているというわけでもありませんので、正確な情報をわかりやすくお伝えできたらと思います。
