顎顔面矯正とは
-
顎顔面矯正とは、歯並びだけではなく、噛み合わせや顎の状態も考慮しながら、顔全体のバランスまで整えていく治療法です。
顎の発育を正常に促すことも可能であり、基本的には発育途上にある子供に適応されますが、大人になってからでも受けることは可能です。
このようなケースにオススメの治療法です
-
次に挙げるような症状が認められる場合は、顎顔面矯正がおすすめといえます。
- ・上の顎が小さい(=上顎骨の劣成長)
- ・上の顎が大きい(=上顎骨の過成長)
- ・下の顎が小さい(=下顎骨の劣成長)
- ・下の顎が大きい(=下顎骨の過成長)
- ・歯列の幅が狭い(=歯列弓の狭窄)
このように、顎顔面矯正は顎の骨格的な異常を改善するのに適した治療法といえます。
顎顔面矯正のメリット・デメリット
-
メリット
- ・骨格の異常を根本から改善できる
- ・歯列矯正で抜歯が不要になりやすい
- ・歯列矯正の治療期間を短縮できる
- ・歯磨きしやすくなる
- ・風邪などの感染症にかかりにくくなる
- ・睡眠時無呼吸症候群の予防につながる
- ・喘息やアレルギー性鼻炎の症状が改善する
- ・集中力が高まる
- ・矯正にかかる費用を抑えられる
デメリット
- ・使用する装置によっては強い痛みを伴う
- ・装置の違和感、異物感が比較的大きい
- ・装着時間を守らなければ成果が得られない
- ・発音がしにくくなる
-
顎顔面矯正のメリットについて
顎顔面矯正では顎の発育にアプローチできるため、歯列矯正では期待できない骨格的な異常の改善が見込めます。その結果、歯を並べる上で必要なスペースを十分に確保できるため、歯列矯正を非抜歯で行える可能性が高まります。
歯並び・噛み合わせが良くなることで歯磨きしやすくなり、虫歯や歯周病などのお口の病気を予防しやすくなります。
上の顎を広げることによるメリット
上の顎の幅や大きさを広げる治療を行った場合、喘息やアレルギー性鼻炎の改善や予防につながることがあります。これは上顎の未発達を放置すると、次のような変化が現れることがあるからです。
- 1. 上顎が小さいと鼻腔も狭くなり、呼吸がしにくくなる
- 2. 呼吸がしにくいと空気の流れが悪くなり、細菌が繁殖することで上咽頭炎にかかる
- 3. 上咽頭炎と免疫異常が重なり、アレルギー性鼻炎を発症する
- 4. アレルギー性鼻炎から喘息が誘発される
顎顔面矯正で上顎骨が大きくなり、空気の流れ道も広くなることでたくさんの酸素を一度に取り込めるようになります。その結果、集中力が高まり、勉強や運動にも良い影響がもたらされることでしょう。
-
顎顔面矯正のデメリットについて
顎顔面矯正では基本的に着脱式の装置を使用します。当然ですが、矯正装置を装着しない限り、適切な効果は得られません。比較的大きく、デコボコとした装置を使うことが多く、装着時の違和感や異物感、しゃべりにくさを感じることも少なくはないという点も知っておいてください。
急速拡大装置のような強い力がかかる装置の場合は、治療に伴う痛みもやや強くなります。
子供の顎顔面矯正
-
子供の顎顔面矯正は、治療を開始する時期がとても大切です。なぜなら、顎の骨の発育は年齢によって大きな差が見られるからです。とくに上の顎の発育のピークは下の顎よりも早く訪れることから、適切な時期を逃さないよう注意しなければなりません。
治療法
子供の顎顔面矯正の治療法はケースバイケースです。上の顎の幅が狭い場合は、急速拡大装置や床矯正装置などを用いて左右的に広げます。上顎前方牽引装置(じょうがくぜんぽうけんいんそうち)を用いれば、上の顎の前後的な長さを伸ばすことが可能です。
上の顎が大きすぎる場合は、ヘッドギアで成長を抑制します。下の顎が大きすぎる場合はチンキャップという装置で成長を抑えます。その他、歯列に内側に設置するリンガルアーチという装置で、歯列の拡大を図ることもあります。
治療期間
子供の顎顔面矯正の治療期間は、症状によって大きく変わります。症状が比較的軽度であれば3~6ヶ月で終わりますが、一般的には1~3年程度かかります。通院するペースは1ヶ月に1回程度です。
大人の顎顔面矯正
-
顎顔面矯正は、顎が発育する力を利用する治療法ですが、大人になってからでも受けることができます。小児期ほどの大きな効果は得られにくいですが、骨格的な異常をある程度まで改善することが可能です。
治療法
大人の顎顔面矯正では、上顎骨を左右的に広げる急速拡大装置を用いることが多いです。歯列も左右的に広がることでスペース不足が解消されて、出っ歯や乱ぐい歯などさまざまな歯並びの異常も改善されます。
治療期間
大人の顎顔面矯正は、1~3年程度の期間を要します。使用する装置や歯列・顎の状態によって、治療期間は大きく変動します。
Q&A
-
顎顔面矯正の治療中に痛みはありますか?
少なからず痛みは伴います。
顎顔面矯正は、顎の骨の発育を促すことが主な目的であり、それなりに強い力を歯や顎にかけることになります。そのため痛みを一切伴わないということはまずありません。ただ、我慢できないほどの痛みが生じるわけではありませんので、その点はご安心ください。
治療中、日常生活に支障はありますか?
日常生活に支障はきたすことは少ないです。
顎顔面矯正に用いる装置の多くは着脱式であり、日常生活に支障をきたすような場面では取り外すことができます。学校や職場などでは装着せず、帰宅後に8時間程度使う装置も多く、日常生活への影響は最小限に抑えられます。ただし、固定式の装置を使用する場合は、食事がしにくい、しゃべりにくいといった不自由を感じることもあります。
顎顔面矯正と一般的な矯正治療の違いは何ですか?
日常生活に支障はきたすことは少ないです。
顎顔面矯正に用いる装置の多くは着脱式であり、日常生活に支障をきたすような場面では取り外すことができます。学校や職場などでは装着せず、帰宅後に8時間程度使う装置も多く、日常生活への影響は最小限に抑えられます。ただし、固定式の装置を使用する場合は、食事がしにくい、しゃべりにくいといった不自由を感じることもあります。
顎顔面矯正と一般的な矯正治療の違いは何ですか?
治療目的と使用する装置に大きな違いがあります。
一般的な矯正治療が「歯並びの乱れを細かく整えること」を主な目的としているのに対し、顎顔面矯正は「顎の大きさや幅、形を整えること」を目指すため、歯列不正・不正咬合へのアプローチに大きな違いが見られます。また、使用する装置も形態から期待できる効果に至るまで、両者には大きな違いがあります。
顎顔面矯正は何歳からできますか?
4~5歳くらいから始められます。
顎顔面矯正は、顎の骨が発育する力を利用するため、比較的低い年齢から始めることができます。とくに上顎骨の成長スパートは下顎骨よりも早く訪れるため、少し早めにスタートした方が良いでしょう。ただし、子供の発育は個人差が大きく、顎顔面矯正に適した時期を年齢だけで決めるのは良くありません。矯正を検討する際には、それぞれのお子様の成長に合わせて適切な治療計画を立てる必要があります。
顎顔面矯正は何歳までできますか?
40歳くらいまで可能です。
顎顔面矯正に厳密な年齢制限はありませんが、一般的には40歳くらいまでに受けた方が良い結果も得られやすいです。歯並びや噛み合わせ、顎の骨の状態も個人差が大きいため、精密検査を行ってみなければ適切に判断することは難しいです。
顎顔面矯正をするか迷っている方へ
顎顔面矯正は、顎の骨の大きさや上下的なバランスを改善できる治療法であり、一般的な歯列矯正にはないメリットが得られます。喘息やアレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群などの病気に悩まされている方も顎顔面矯正によってそれらの症状の改善が見られることもあるのです。
とくに成長期の子供に関しては、全身の発育や勉強・運動への良い影響まで期待できることから、お子様の健やかな成長を望まれている保護者様には強くおすすめしたい治療法といえます。
顎顔面矯正についてさらに詳しく知りたい、疑問や不安を解消したいという方は、いつでもお気軽にアウルデンタルクリニックまでご相談ください。当院では矯正相談を無料で承っております。