IDS(イミディエイトデンティンシーリング)とは?
IDS(Immediate Dentin Sealing)とは、削った後の歯にレジン系の材料を塗布して、象牙質や歯の神経を保護する処置法です。虫歯治療で歯を削った後は、象牙細管がむき出しとなり、傷を負ったような状態となるため、適切な歯科材料で創面を保護することは、虫歯の再発や知覚過敏の発症リスクを抑えることに寄与します。
IDSは、海外でスタンダードとなっている処置法ではありますが、日本ではまだ普及はしておらず、原則として自費診療となります。
象牙細管とは?
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象牙細管は歯の象牙質に存在する微細な管状構造で、歯髄とエナメル質をつなぐ役割を果たしています。象牙細管には神経繊維と液体が含まれており、痛みの伝達、象牙質の防御、栄養供給に関与しています。冷たい飲み物などで感じる痛みは、象牙細管を通じて刺激が歯髄に伝わるためです。また、象牙細管が露出すると知覚過敏を引き起こしますが、専用のコーティング剤や歯磨き粉で封鎖することで対策が可能です。象牙細管の機能理解は歯の健康管理に役立ちます。
IDSのメリット
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【メリット1】虫歯のリスクが減少する
標準的な修復治療では、歯を削った後に約1週間から10日ほど何も象牙質表面を処理することないまま接着剤を塗布して、詰め物や被せ物を装着します。そのため、汚染された象牙質の上から接着剤でくっつける事になるので、再び虫歯になりやすいことになってしまいます。
IDSは、歯を削ってむき出しとなった象牙細管を即座に封鎖すため、治療後の虫歯リスクを最小限に抑えられます。
【メリット2】虫歯の治療後の痛みがなくなる
虫歯治療や被せ物治療の後には、一時的な知覚過敏の症状に悩まされることがあります。これも歯の切削によって象牙細管がむき出しとなることに関連しています。また加齢や歯ぎしりが原因でエナメル質に傷が生じ、冷風や冷水が象牙細管を伝って神経を刺激するのもなくなります。
【メリット3】被せ物の接着力が増す
被せ物を装着する際には、専用の接着剤を使用します。従来法では、歯を削った跡に直接、接着剤を塗布して被せ物をセットしますが、必ずしも万全な環境とはいえません。
そこに象牙質と化学的にしっかり結合するIDSを介在させることで、被せ物の接着力が向上します。施術から長い年月が経過しても外れにくい被せ物を装着できるのです。
IDSはセラミック治療の強い味方です
セラミック治療の成功率を引き上げます
松戸新田のアウルデンタルクリニックでは、セラミック治療を行う際に、IDSを併用しております。なぜならIDSを行うことで、セラミック治療の質が大きく向上するからです。虫歯再発リスクが低下すること、セラミックの詰め物・被せ物と歯質との接着力を強化できることは、セラミック治療の成功率を引き上げ、修復後の歯の寿命の延伸も寄与します。
深い虫歯治療に欠かせないIDS
歯質を保護するIDS
進行した深い虫歯では、歯を削る量や面積も大きくなります。その結果、歯冠部と歯髄腔とを隔てる歯質が極めて薄くなったり、神経そのものがむき出しとなったりすることがあります。そんな時にIDSを活用できれば、歯の神経を抜かずに残せることがあるのです。
薄くなった歯質をIDSで保護する、あるいは部分的に露出した神経をIDSで覆うことで、抜髄を回避できる可能性が高まります。その後は、通常通りの詰め物・被せ物治療を行います。歯にとって歯髄は、人間にとっての心臓に匹敵するくらい大切な臓器です。IDSなら抜髄を回避しやすくなることから、歯の寿命の延伸にもつながります。しかし、歯髄が健康な状態が保たれていることが前提になるので、詳しくはスタッフまでお尋ねください。
アウルデンタルクリニックからのメッセージ
千葉県歯科医師会では、「80歳になるまでに29本の天然の歯を残す」というスローガンを提唱しています。年齢を重ねても29本以上の歯が残っていることで、食事や会話を楽しむ・全身の健康を守ることにつながります。
80歳までに29本の歯を残すことは、簡単なようで意外に難しいものです。虫歯や歯周病が進むと歯の奥にまでダメージが及び、歯を失うリスクが高まるためです。天然の歯をなくすリスクを軽減するには、普段からの予防への意識が欠かせません。
PMTCとエアーフローによるメンテナンスをしっかり行うことで、いくつになっても健康な口腔環境を整えていきましょう。