歯の表面に貼り付けるラミネートベニアとは?
ラミネートベニアとは、セラミック製のシェルを歯の表面に貼り付ける治療法です。シェル自体とても薄く、0.3~0.8mm程度しかありません。そのためラミネートベニアを装着する歯もほとんど削る必要はなく、一般的な切削量は0.3~0.8mm程度にとどまります。
ラミネートベニアは世界でも広く行われている治療法であり、歴史も古いです。とくにアメリカでは、日常的に行われている修復治療のひとつとなっており、安全性や確実性、長期的な安定性も確立されている治療法といえるでしょう。ラミネートベニアは、高い審美性が要求される前歯に適応するのが一般的ですが、最近では奥歯でも使用されるケースもあります。
ラミネートベニアのメリット・デメリット
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ラミネートベニアによる治療には、次のようなメリットとデメリットを伴います。
ラミネートベニアのメリット
歯を削る量が少ない
歯の色や形、大きさを改善する方法としては、セラミッククラウンが第一に挙げられますが、切削量が多いという欠点があります。
ラミネートベニアは、歯の表側のエナメル質のさらに< class="BgYellow">外側を一層、削るだけでセラミック製のシェルを装着できるため、歯に与えるダメージを最小限に抑えられます。
歯の強度を担保出来る
ラミネートベニアは、他の修復方法と異なりエナメル質を全部削り飛ばすことがありません。実はこのエナメル質というのは、家で例えるならば“梁”と同じで歯の強度を維持するものと言われております。
したがって、ラミネートベニアは修復方法で唯一歯の基本的な構造を崩すことなく、歯の強度を保ちながら審美的に修復することができます。
美しい歯を維持しやすい
ラミネートベニアは、基本的に歯の神経を取ることはありません。しかし、すでに神経の無い歯でも一定の条件が整えば行うことがあります。
また、金属材料も一切使用しないことから、自然に美しい歯を作ることができ、かつ汚れが付きにくい為に美しい状態を維持しやすいです。
歯並びも改善できる
歯と歯との間に不自然なすき間があるすきっ歯は、ラミネートベニアで改善できることがあります。
とくに上の前歯の真ん中にすき間がある「正中離開(せいちゅうりかい)」はラミネートベニアで改善することがあります。ただし、さまざまな条件がありますのでまずはスタッフまでご相談ください。
ラミネートベニアのデメリット
適応できないこともある
ラミネートベニアは、大変薄い修復物であることから咬む力が強かったり、歯ぎしり・食いしばりが酷い場合に適応外となることがあります。上の前歯の間が大きすぎてしまっている場合には、ラミネートベニア単独での改善が難しい場合もあります。
割れることがある
ラミネートベニアは、過度に強い力が加わったりして割れることがあります。しかし、これはセラミックが割れてしまうくらい強い力が加わりセラミックが割れたことで自分の歯を守ったという理解を当院ではしているために、条件が整えば再製作をしておりますのでご安心ください。
保険が適用されない
ラミネートベニアは、原則として自費診療となります。保険診療と比較すると、費用が少し高くなります。
セラミッククラウンとの比較
ラミネートベニアは、セラミッククラウンよりも歯にかかる力に対して抵抗力が高いです。その理由は、セラミッククラウンと比較してラミネートベニアはエナメル質を全て削ることがないために装着した後でも歯そのものの構造を壊すことがないからです。またラミネートベニアでは、神経をとる処置が必要になる可能性も限りなくゼロに等しいです。
ラミネートベニア | セラミッククラウン(前歯) | |
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歯を削る量 | 少ない | 多い |
神経の処置(抜髄) | なし | 必要なケースがある |
歯にかかる負担・ダメージ | 少ない | 多い |
経年的な変色 | 起こりにくい | 起こりにくい |
適応範囲 | 比較的狭い | 広い |
色調 | 非常に良い | 非常に良い |
治療期間 | 2〜3週間 | 3〜4週間 |
通院回数 | 2~3回 | 3~4回 |
治療費 | やや高い | やや高い |
このような方にオススメです
こうした歯の症状をラミネートベニアなら大きく削らず、神経も抜かずに改善できるかもしれません。一度ご相談ください。
- 歯をできる限り削らずに自然に治したい
- 歯の形がいびつ
- 歯と歯の間に不自然なすき間がある
- 歯に大きな詰め物がしてあってその変色が気になる
- ホワイトニングで改善できない歯の変色
治療の流れ
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1.相談
まずはお気軽に歯のお悩みについてご相談ください。ラミネートベニアの治療内容についてスタッフがわかりやすくご説明します。ラミネートベニアに関する疑問や不安があれば、何でもお尋ねください。
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2.診査・診断
歯の状態を診査します。口腔内診査、レントゲン撮影、写真撮影、模型診査などを行った上で、ラミネートベニアによる治療が適しているかどうかを診断します。ケースによっては、その他の治療法をご案内させていただくこともあります。
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3.カウンセリング
各種診査の結果をもとに、ラミネートベニアを含めた治療のゴールのご提案をさせていただきます。その上で患者さんのご希望とすり合わせをさせて頂き、それに費用のご説明し、ご納得いただいて初めて治療へと入って参ります。
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4.歯の形成
麻酔を施した上で治療対象となる歯を削ります。歯の切削範囲をエナメル質内にとどまるため、マイクロスコープを用いて拡大した視野のもとエナメル質を失うことが無いように丁寧に歯を削って行きます。
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5.歯の型取り
歯の形成が完了したら歯の型取りを行います。歯の型取りにはプライムスキャンという口腔内スキャナーを用いてお口の中のスキャンを行います。通常の型取りとは異なり短い時間で簡便に精度が高い型取りを行うことができます。
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6.ラミネートベニアの作製
スキャンしたデータをもとに、コンピュータ上で技工士が設計を行い、セラミックのブロックからプライムミルという機械を使用して削り出します。削り出されたラミネートベニアを調整した後に、色付けを行い完成させます。
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7.ラミネートベニアの装着
とても薄いラミネートベニアを長期的に保持安定させるためには、高いレベルの接着技術を必要とします。
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8.メンテナンス
治療後も定期的なメンテナンスを受けることは、装着したラミネートベニアはもちろんのこと、残っている他の歯を保存するということにつながるために非常に重要です。医科とは異なり、歯科は疾患を削除し代わりのもので補う治療方法であることから、治療終了後に補填した代わりの材料が長期に渡り安定しているかどうか継続してみていかないと、再治療を防ぐことにつながらないために大切です。
よくある質問と回答
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どのくらい歯を削る必要がありますか?
ラミネートベニアでは、歯の表面を0.3~0.8mm程度削ります。歯の切削は必ずエナメル質の範囲内にとどまるため、施術後に深刻な症状が現れることはまずありませんのでご安心ください。また、歯の寿命を大きく縮めることもありません。
ラミネートベニアの寿命は何年ですか?
ラミネートベニアも他の治療方法においてもそうですが、各治療方法の寿命という明確な表現をすることは困難です。しかし、治療後のメンテナンスやケアをしっかりと継続すれば、長持ちさせることも難しくはありません。
すぐに取れてしまいそうで不安です
ラミネートベニアは、非常に高いレベルの接着技法による接着させるために、簡単に取れてしまうことはありません。ただし、極端に硬いものを前歯で噛んだり、歯ぎしり・食いしばりなどの悪習癖があったりすると、欠けてしまうことから注意が必要といえます。
1本だけラミネートベニアにすることはできますか?
症例による異なりますので、まずはスタッフまでご相談ください。