インプラント治療の骨造成術サイナスリフト
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上の奥歯のインプラント治療で、顎の骨が不足しているケースでは「サイナスリフト」という骨造成が必要となることがあります。
ここではサイナスリフトの特徴やメリット、治療の流れなどを松戸新田のアウルデンタルクリニックが解説します。
サイナスリフトとは?
サイナスリフトとは、インプラント治療の際に上顎の骨量が不足している場合に行う骨造成術の一つです。上顎には「上顎洞(じょうがくどう、サイナス)」という空洞があり、奥歯を失って長期間放置すると、歯茎の下の骨が吸収され、サイナスとの間の骨が薄くなることがあります。この状態ではインプラントを埋入するための十分な高さが確保できないため、治療の成功率が低下するリスクがあります。
サイナスリフトでは、歯茎を切開して上顎洞の底部を持ち上げ、その隙間に自家骨や人工骨などの骨補填材を詰めることで骨量を増やします。こうして、インプラントがしっかり固定できる土台を作るのが特徴です。通常、骨の高さが4mm以下の場合に適応となることが多く、歯科用CTを用いた精密な診断と計画が必要となります。
サイナスリフトの適応症
サイナスリフトは、特に以下のようなケースで適応となります。
- 奥歯(小臼歯・大臼歯)の欠損部に骨量が不足している場合
- 過去に骨吸収が進行して、顎の骨が薄くなっている場合
- 抜歯後に長期間放置したことで骨の再生が期待できない場合
- 通常のインプラント治療では初期固定が得られないと判断された場合
これらのケースでは、サイナスリフトを行わずにインプラントを埋入すると、骨と結合できず脱落や周囲炎のリスクが高まります。そのため、サイナスリフトは安全で長持ちする治療結果を得るために重要な選択肢です。

サイナスリフトを行うメリット
インプラント治療でサイナスリフトを行うと、以下に挙げる4つのメリットが得られます。
【メリット1】インプラントの安定性が高まる
骨量不足の状態で無理にインプラントを埋入すると、インプラントが骨と結合せず、噛み合わせの力に耐えられずに緩んだり、最悪の場合脱落したりする可能性があります。サイナスリフトを行うことで十分な骨の厚みが確保され、初期固定が安定します。これにより、インプラントが長期間機能し、しっかり噛める状態を保つことができるのです。
【メリット2】長期的なトラブルを防げる
骨が薄いままインプラントを入れると、周囲の骨や歯茎に過剰な負担がかかり、骨吸収やインプラント周囲炎といったトラブルを招く可能性があります。サイナスリフトを併用することで、骨と歯茎の健康を長期にわたって維持できるため、患者様にとって治療後の予後が良好になります。治療後の安定性と健康維持を両立できる点は、サイナスリフトの大きなメリットです。
【メリット3】ブリッジ・入れ歯に頼らず治療できる
骨不足のケースでは、サイナスリフトを行わない場合、顎骨に固定するインプラントではなく、ブリッジや部分入れ歯といった代替治療が選択されがちです。しかし、これらは周囲の歯を削ったり、取り外しの煩わしさがあったり、噛み合わせに制限が生じることがあります。サイナスリフトを併用すれば、固定式インプラントによる治療が可能となり、患者様は自然な噛み心地と快適さを得られます。
【メリット4】審美性・顔貌の回復
長期間歯がないまま放置すると、骨が痩せて歯茎が陥没し、口元のボリュームが失われることがあります。サイナスリフトによって骨量を補うことで、インプラントを理想的な位置に配置でき、歯茎のラインも自然に整います。その結果、見た目が改善され、若々しい顔貌が保てることも重要なメリットです。
このような方にオススメです
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インプラント治療では、以下のような方にサイナスリフトが推奨されます。
上の奥歯を失ってから時間が経っている方

抜歯後、特に上顎の奥歯部分は時間の経過とともに骨が吸収され、薄くなりやすい傾向があります。このような患者様は、通常のインプラント治療だけでは骨が不足しており、埋入の初期固定が得られません。サイナスリフトを併用することで、骨造成が行われ、奥歯のインプラント治療が可能となります。奥歯は噛み合わせの要であり、しっかりと噛めることは全身の健康にも関わるため、治療の価値は高いといえます。
骨の高さが4mm未満の方

上顎のインプラント埋入に必要な骨の高さは最低でも6mm程度とされていますが、実際には4mm未満しか残っていないケースもあります。このような場合、単純な骨補填だけでは対応が難しく、サイナスリフトの適応となります。しっかりと骨量を増やしてから治療を進めることで、インプラントの予後を大きく改善できます。
将来的にインプラントを長持ちさせたい方

「せっかくインプラント治療を受けるなら長持ちさせたい」と考える患者様には、サイナスリフトの併用が重要です。骨造成を行わずに治療を急ぐと、短期間での脱落や周囲炎などのリスクが高まります。サイナスリフトによって安定した骨環境を整えてからインプラントを入れることで、長期的に安定した噛み合わせを維持でき、治療後の満足度が高まります。
骨移植を避けたい方

骨が足りない場合、別部位から自家骨を採取して移植する選択肢もありますが、これには追加の手術や負担が伴います。サイナスリフトは、自家骨に加えて人工骨や異種骨を用いることが可能であり、骨採取を回避できる場合があります。手術負担を最小限に抑えつつ、骨造成とインプラント治療を実現したい患者様に適しています。
当院では、患者様一人ひとりの骨量や歯茎の状態、噛み合わせを精密に診断し、サイナスリフトの必要性を丁寧に判断します。治療に関して不安や疑問がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、患者様が安心して治療に臨めるよう全力でサポートいたします。
サイナスリフトとソケットリフトの違い
インプラント治療で骨量が不足している場合、上顎奥歯部の骨造成には「サイナスリフト」と「ソケットリフト」という2つの方法があります。それぞれの違いを理解することで、患者様ご自身が治療選択の参考にしやすくなります。以下の表に主要な違いをまとめます。
| 比較項目 | サイナスリフト | ソケットリフト |
|---|---|---|
| アプローチ方法 | 側方(歯茎の側面)からアプローチ | 上方(歯の抜歯窩から)からアプローチ |
| 適応骨量 | 骨の高さが4mm未満の場合 | 骨の高さが4~6mm程度の場合 |
| 骨補填材の量 | 多量(10mm程度の高さを確保するため) | 少量(2~3mm程度の骨造成で済む) |
| 手術の侵襲度 | 比較的大きい(切開・骨開窓が必要) | 小さい(最小限の骨押し上げで対応可能) |
| インプラント同時埋入 | 骨造成後、数ヶ月待ってから埋入する場合が多い | 多くの場合、同時にインプラント埋入が可能 |
| 治療期間 | 骨造成後の治癒期間を含め6~9ヶ月程度かかることが多い | 比較的短い(4~6ヶ月程度で補綴装置装着まで進行可能) |
| 主な適応ケース | 骨吸収が進んで骨量が著しく不足している患者様 | 骨量不足だが、ある程度の高さが残っている患者様 |
このように、サイナスリフトは大規模な骨造成が必要な場合、ソケットリフトは小規模な骨造成で対応できる場合に用いられます。治療選択は患者様一人ひとりの骨の状態や全身状態、噛み合わせの状況を総合的に判断して決定されます。
サイナスリフトの流れ
サイナスリフトは高度な外科処置を含む治療であり、治療の流れを理解しておくことは、患者様にとって安心材料の一つとなります。以下に、一般的なサイナスリフトの流れを段階的に解説します。
STEP1 精密診査・治療計画立案
まず、歯科用CT撮影を行い、上顎洞の形態、残存骨の高さ、骨質、歯茎の状態を詳細に確認します。これにより、サイナスリフトが本当に必要かどうか、他の方法で代用できないかを慎重に評価します。また、患者様の全身状態や既往歴、服用中の薬なども確認し、安全に治療を進めるための準備を整えます。治療計画の立案では、使用する骨補填材の種類(自家骨、人工骨、異種骨など)、治療期間、インプラント埋入の時期について詳細にご説明します。

STEP2 局所麻酔と手術準備
手術は基本的に局所麻酔で行います。必要に応じて笑気麻酔や静脈内鎮静法を併用し、患者様の不安や緊張を和らげます。術野を徹底的に消毒し、無菌的な環境を確保します。

STEP3 歯茎の切開と骨へのアクセス
歯茎を切開して骨面を露出させ、側方の骨に小窓(開窓部)を作成します。この際、周囲の組織や血管、上顎洞粘膜を損傷しないよう、拡大鏡やマイクロスコープを使用しながら慎重に作業を進めます。

STEP4 上顎洞粘膜の挙上と骨補填材の填入
作成した小窓から、上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を丁寧に剥離・挙上します。破損すると治癒が遅れたり、感染リスクが高まったりするため、非常に繊細な操作が求められます。その後、できた空間に骨補填材を充填し、骨の高さを確保します。場合によっては、患者様の自家骨を採取し、人工骨と混ぜて使用することもあります。

STEP5 インプラント埋入(必要に応じて後日)
骨量が十分に確保でき、初期固定が期待できる場合は、サイナスリフトと同時にインプラントを埋入します。ただし、骨量が著しく不足している場合や初期固定が得られないと判断される場合は、まず骨造成のみを行い、4〜6ヶ月の治癒期間を置いた後、改めてインプラント埋入を行います。

STEP6 縫合と術後管理
手術終了後は歯茎を縫合し、出血や腫れを抑えるための止血措置を行います。患者様には術後の注意点(激しい運動や鼻を強くかむことの制限、抗生物質・鎮痛薬の服用指示)を丁寧に説明します。また、術後1週間程度で抜糸を行い、経過を確認します。
サイナスリフトは、患者様一人ひとりの状態に応じて細かく手順や治療期間が変わります。当院では、正確な診断と緻密な手術計画をもとに、安全で効果的な治療を提供しております。骨量不足でインプラント治療を諦めていた患者様も、ぜひ一度当院までご相談ください。

よくある質問
Q.サイナスリフトは痛いですか?
サイナスリフトは局所麻酔を使用して行うため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。患者様の状態や希望に応じて、笑気麻酔や静脈内鎮静法を併用し、不安や緊張を和らげることも可能です。手術後は麻酔が切れると腫れや軽度の痛みが生じる場合がありますが、通常は処方される鎮痛薬でコントロールできます。術後の痛みは数日程度で落ち着くことが多いです。
Q.どの歯科医院でも受けられますか?
サイナスリフトは高度な外科手術であり、どの歯科医院でも対応できるわけではありません。歯科用CTによる精密診断、適切な治療計画、繊細な手術技術が求められるため、インプラント治療や骨造成の実績が豊富な歯科医院で受けることが重要です。当院では経験豊富な歯科医師が担当し、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しております。
Q.手術後の腫れや違和感はありますか?
サイナスリフト後は、歯茎や頬の腫れ、軽度の痛み、鼻周辺の違和感が生じることがあります。これらは身体の正常な反応で、数日から1週間程度で徐々に軽減します。術後は処方された薬を正しく服用し、激しい運動や鼻を強くかむ行為を控えることが大切です。万が一、強い痛みや腫れが長引く場合は、速やかに歯科医院にご連絡ください。
Q.治療期間はどれくらいかかりますか?
サイナスリフトの治療期間は、骨造成後の治癒期間を含め、通常6〜9ヶ月程度かかります。骨量が十分に確保できるまで待ってからインプラントを埋入する場合は、骨造成後4〜6ヶ月の治癒を見てからの再手術となります。同時埋入が可能なケースでは治療期間が短縮される場合もありますが、患者様の骨の状態により個人差があります。
Q.インプラントとの同時手術はできますか?
サイナスリフトでは、骨の高さがある程度残っており、インプラントの初期固定が期待できる場合には、骨造成とインプラント埋入を同時に行うことが可能です。ただし、骨が著しく不足している場合は、まず骨造成のみを行い、数ヶ月の治癒期間を経てからインプラントを埋入します。治療計画は、歯科用CTでの精密診断に基づいて決定されます。
Q.保険は適用されますか?
サイナスリフトはインプラント治療の一環として行われるため、自由診療扱いとなり、健康保険は適用されません。費用は治療内容や使用する骨補填材の種類、治療の難易度によって異なります。患者様には事前に詳細な費用説明を行い、納得いただいたうえで治療を進めますので、安心してご相談ください。

